お弁当についてくるお醤油は、最近では小袋入りのものも多いですが、魚の形の入れ物に入っていることも多いですよね。
なんだか昔ながらのお弁当みたいで懐かしく思うこともありますが、その入れ物の名前を知っている人はあまりいないのではないでしょうか。
実はその容器は「ランチャーム」という名前です。
なんとなく「魚の醤油入れ」みたいな覚え方をしていたので、改めて正式名称を聞くとなんだか違うモノのような気がします。
ところで、あの魚は小さくて可愛い魚なので金魚と思っていましたが、製造元である大阪の「旭創業」さんによると、モデルとなる魚は「鯛」とのことです。
ランチャームは登録商標になっていますが、その歴史も含め紹介していきたいと思います。
醤油の魚の形をした入れの正体は?
※鯛をモデルにした「ランチャーム」
お弁当やお惣菜に付いてくる醤油の入れ物の総称を「たれびん」といいます。
たれを入れるびん、というシンプルな呼び方ですよね。
ところで、その魚ってなんだろう?と思ったことがある人もいるのではないかと思います。
金魚かな?と私も思っていましたが、実は「鯛」だそうです。
鯛のランチャームには金色バージョンもあり、確かに縁起が良さそうですね。
鱗まで再現されてリアルですが、妙に可愛らしいですよね。
※ランチャームが生まれた背景
魚の形をした醤油の入れ物の正式名称は「ランチャーム」で、大阪市西成区にある食品資材メーカー「旭創業」の登録商標となっています。
そのため、類似の容器を他のメーカーが作っていても「ランチャーム」と名乗ることはできません。
ランチャームが誕生したのは、昭和29年(1954)にまで遡ります。
創業者の渡辺輝夫氏が経済新聞を読んでいた時にポリエチレンの経済性について閃いたのがきっかけで、お弁当に入れる調味料をコストも高く割れやすいガラスや陶器から、ポリエチレン製のものに変えることを決意しました。
当時の技術では並大抵のことではありませんでしたが、完成にこぎつけると同時に商品名をランチャームとして特許を申請しました。
昭和32(1957)年に本格的な製造を開始し、大ヒット商品となり今に至ります。
ランチャームの名前の由来は、「ランチ」と「チャーミング」を合わせた造語からとされています。
60年以上前に生まれた製品ですが、今でも十分通用するセンスのある名前ですよね。
醤油の入れ物いろいろ
※魚以外にはどんな形がある?
魚だけではなくブタ、ひょうたんなどの形があってユニークですが、商標登録している旭創業さんでは魚以外の形のものや小袋タイプも全て「ランチャーム」となります。
例えば「ランチャーム・フィルムタイプ」といった感じですね。
とんかつなどの揚げ物や、うどんのつゆ等に使われるものはシンプルな長方形だったりとバリエーションが豊富です。
※昔はどうしていた?
ランチャームが誕生する以前は、上の項でも少し触れましたがガラスや陶器の容器が主流でした。
しかも使い捨てだったというから驚きですが、割れたらケガをしてしまいますし、製造コストもかかります。
ポリエチレン製のランチャームならそんな心配もなくなるので、画期的な発明ですよね。
今でも崎陽軒のシウマイには「ひょうちゃん」と呼ばれる陶器の入れ物がついていたりしますが、使い捨て感覚ではなくかわいい雑貨としてコレクターも多いようです。
醤油の魚の形の入れ物の正体とは?【まとめ】
これまで何気なく使っていた、お弁当に付いている醤油の入れ物は「ランチャーム」という名前がありました。
しかも登録商標になっているので、あくまで総称は「たれびん」、旭創業さんが製造したものだけがランチャームを名乗ることができます。
何気なく使って、使い捨てていた入れ物が60年以上の歴史をもっているというのは驚きですよね。
魚の形が最もポピュラーですが、小さくて可愛いこともあり「金魚かな?」と思ってしまいそうですが、実は「鯛」なのです。
次にお弁当を買う機会があったら、添えられているランチャームを見て「あ、鯛だ」と思うかも知れないですね。