包丁の黒錆加工のメリット、デメリットとは?ステンレスには可能か?
包丁を使い続けていると、手入れをしない限りはどんな包丁でも切れ味の悪さは出てくると思います。
また、切れ味の悪さの他に包丁に錆(赤錆)がついてしまうことも起こってきます。
手入れフリーや錆を目立たなくさせる方法を今回、『黒錆加工(黒染め)』をご紹介いたします。
黒錆加工とは?
まず、そもそも黒錆とはなんなのかを説明いたします。
黒錆とは鉄の表面にできる酸化膜のことで金属表面が空気に触れることにより酸素と反応して発生するものです。
金属の酸化を防ぐ保護膜としての性質を持っており腐食に強いため、金属加工のときに用いられることが多いです。
自然酸化によって生じる鉄の錆は赤錆と呼ばれます。
赤錆は保護膜の性質がかなり低く、隙間の多いもろい膜であるためにそこから腐食が始まり鉄全体をぼろぼろに傷めてしまいます。
メリット
・切れ味が悪くなりにくい
・材料の性質・変形をせずに強度を増すことができる
包丁の表面に酸化皮膜(黒錆)を作ることで腐食を防ぎ、切れ味の悪さを防ぐのはもちろん、包丁自体を長持ちさせることができます。
黒錆加工することで赤錆の発生を防ぐことが一番のメリットとなります。
デメリット
・黒錆の加工が取れてきた場合は再度の加工が必要になる
黒錆加工すれば、メリットだらけかと思いました。
ですが、黒錆加工は永久に続くものではなく、使用頻度に応じてですが剥がれてきます。
特に酸性の強い食材に包丁を使用した場合は黒錆が取れやすくなるので注意しましょう。
酸性の強い食材~
じゃがいも、肉類、チーズ・バター、レモンなどの柑橘類
「小ネタ」
これは塩分が大気中の水分を吸ってしまう吸湿性の高さが原因となります。
つまり、塩分自体が原因ではなく塩分の吸湿性の高さから水分を含むことがきっかけで始まります。
水分の付着したままの放置を防ぐことがまず錆の発生を防ぐことができます。
柑橘類などの酸は保護膜を溶かしてしまうので要注意です。
黒錆加工をしても、頻繁に酸性のある食材を包丁で切る際はこまめに黒錆加工、または研ぐなどが必要となる場合があります。
ステンレス製品は黒錆加工ができない
ステンレス製の包丁、ナイフは黒錆加工ができません。
そもそも、ステンレス製のものは表面に保護膜(酸化皮膜)がまとってあり、錆びにくい性質のため、黒錆の加工が浸透しにくいからです。
ステンレスは赤錆が発生しにくいので、黒錆加工には適さない素材となります。
※ステンレス以外の異種金属と長時間接触していると、錆びをもらってしまい錆びしてしまう場合があります。
カーボンスチール製品は黒錆加工がおすすめ
炭素鋼素材のカーボンスチールの包丁・ナイフであれば黒錆加工がおすすめです。
まず、カーボンスチール素材が錆びやすい(酸化しやすい)素材であるからです。鉄と酸素が化学結合しやすいと錆びる原因となります。
この錆びやすさを応用したものが黒錆加工となり、カーボンスチールの包丁の表面に保護膜を張り、錆びにくくすることができます。
包丁の黒錆加工とは?【まとめ】
包丁の切れ味、錆びを防ぐための黒錆加工。購入したら、包丁を使用する前に加工することをまずおすすめします。
赤錆はステンレス製では発生しにくいのですが、カーボンの炭素鋼は洗ったままの状態(水気がある状態)で放置をすると一気に錆び始めます。
赤錆が出ると余計に手入れに時間がかかります。
赤錆が発生する前に、黒錆加工をすることでその後の手入れを楽にして、なおかつ包丁の切れ味を維持し、ストレスフリーな状態で食事を用意することをぜひ一度ご検討ください。
ここまで読んでいただきありがとうございます。