ビーフシチューを作った時、『この肉、硬っ…(汗)。』となったことはありませんか?これに限らず一度くらいは、“肉が硬くなってしまった”、“思っていたのと違う”という経験をしたことがあるかと思います。
じゃあ、どうして調理した肉は硬くなるの?
“特売の肉”だったから?
“外国産”の肉だったから?
結論を申し上げます。肉を柔らかく仕上げるための一番のコツは、【じっくり弱火で】です。
さらに他にも、お肉を柔らかく仕上げるコツは、いくつかあります。
今回は、家庭で作るビーフシチューに一番使われているであろう“牛もも肉”についてのお話を軸に、ビーフシチューの上手な作り方について解説していきたいと思います。
牛もも肉が硬くなる訳
まず始めに、食肉には色々な部位があります。部位によって味も食感も違い、それぞれの良さを持っています。筋肉質で脂身が少なくヘルシーに食べられる部位や、脂身が多くとろけるような口当たりの部位など、さまざまです。
牛肉も例外ではありません。
牛もも肉は、牛肉の中でも脂肪が少ない“赤身肉”と呼ばれる部位です。牛は脚力が強く、足をよく使っているので、牛のもも肉自体が筋繊維の塊のようなものです。ゆえに、食べた時にはどうしても硬く感じやすい部位であることは間違いではありません。
これは逆に、脂身が少なくヘルシーであると言えます。また、“安い牛肉”・“外国産の牛肉”がために”
=硬い牛肉“というのはナンセンスであるとも言えるでしょう。
牛肉が硬くなる温度は、凡そ50度前後くらいといわれます。一度加熱で縮まった筋繊維の多い赤身の牛もも肉を、この温度を上回る温度帯でいくら加熱し続けてたとしても、硬いままなのです。
『いくら煮ても、柔らかくならないんですけど…⤵』的なパターンが、これです。
故に、冒頭でもありました通り、【じっくり弱火で】が牛もも肉を柔らかくするコツだという訳ですね。
牛もも肉を柔らかくするコツ
前述の通り、牛もも肉を柔らかくするコツは、加熱温度にあります。
元々赤身肉は筋繊維が多い為、強火の加熱では収縮してしまうだけで柔らかくはなりません。しかし、【弱火=低めの温度帯】で加熱を続けることにより、硬く筋繊維の塊だった赤身肉が柔らかいゼラチン質状のトロトロ肉に変わっていくのです。
手順としては、
②鍋に水と①を入れ、弱火で煮始める。
③沸騰させないように注意し、途中アクを取りながら好みの柔らかさになるまで煮込んでいく。
というように進めます。(以下、下仕込み★)
また、ここでいう【弱火】ですが、イメージ的には鍋の中の様子が、“ポコポコッ、、、、、ポコポコッ”ぐらいの感じです。
この“ポコポコッ”で、最低でも2~3時間、可能であればそれ以上の時間煮込みます。
―、映画ガッツリ1本分は余裕でいきますね。
なので、午後のおやつの時間頃に『今日の夜は何にしようか?』『ん~、そーだなぁ…。あ、ビーフシチューがいい!』のようなやり取りをしていては、“トロトロ牛もも肉のビーフシチュー”にするのには、間に合わないかもしれませ。(汗)
普通であれば、他の野菜と一緒に煮込んで、最後にルーを溶かして終了となるでしょう。そうではなく、“牛もも肉”だけを煮て柔らかくしておく《下仕込み★》を行うことで、柔らかい牛もも肉が入ったビーフシチューが出来上がるのです。
*柔らか牛もも肉のビーフシチューの作り方
②野菜を炒めて、《下仕込み★》で使用したお湯を入れて煮る。
③野菜に火が通ってきたらルーを溶かして、《下仕込み★》の牛もも肉を鍋に入れて軽く煮込む。
これで、完璧です。
牛もも肉を柔らかくする方法+α
長時間煮込む以外でも、牛もも肉を柔らかくする方法もあります。
①圧力鍋を使う
⇒短い時間でも、お肉を柔らかく仕上げる事が出来ます。一家に一台、あったら便利ですよ。
②赤ワイン・塩こうじで漬け置きする
⇒調理する2~3時間前に赤ワインまたは塩こうじをもみ込むようにして漬け、冷蔵庫に入れておきます。これらには、肉を柔らかくする効果があります。他にも、玉ねぎのすりおろしやパインを用いることも可能です。
牛もも肉以外でビーフシチューに向く牛肉の部位
牛もも肉以外にもビーフシチューに向いた牛肉の部位がありますので、いくつかご紹介します。
*すね肉
足の膝下~くるぶしあたりの骨まわりに付いている赤身肉をさします。この部位の特徴は、牛の身体の中でも特に運動量が多いため、特にすじが多い赤身肉であるということです。
裏を返せば、コラーゲンの塊であるため、【じっくり弱火で】煮ていくと驚くほど柔らかトロットロの肉になります。
*すじ
筋肉や筋がついた、ゼラチン質を豊富に含む肉の総称です。いわゆる、おでんの具にもある“牛すじ”
ですね。脂やアクを取り除く下ごしらえが必要ですが、煮込み料理にピッタリで、もちろんビーフシチューにも合います。
*テール
牛の尻尾を指す呼称です。この部位は、韓国のテールスープに使われています。非常に硬い肉ですが、【じっくり弱火で】煮込んでいくとホロホロとくずれるようになり、濃厚な牛骨スープが出てきます。茹でこぼすなどの下ごしらえが必要ですが、シチューの具としても人気がある部位です。
ビーフシチューのもも肉を柔らかくするコツとは?【まとめ】
“ビーフシチューの牛もも肉を柔らかくするコツ”ということでお話して参りました。
ここまでの内容をまとめてみましょう。
・牛もも肉は筋肉質であり、そもそもが硬い
・肉は、高温で加熱を続けても柔らかくはならない
・【じっくり弱火で】が肉を柔らかくするポイント
・圧力鍋や、赤ワインなどを利用するのも◎
中々手間はかかりそうですが、出来上がった時の感動たるや♪
是非一度、お試しください。
それでは、今回はここまで。
最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございましたm(_ _)m